どう考えても、サロゲートの不適切な使用方法に対し、全く疑問を抱かず、自らの肉体と精神を害していく人間たち。まさしくサロゲート依存症だが、そんな世界をユートピアと思っている世界観の設定自体に疑問を感じる。などと、考えてはいけないのだろう。
アメリカ公開は2009年9月25日。監督は「 ターミネーター3 」のジョナサン・モストウ。興行収入は製作費に遠く及ばず、失敗作と言われているが、ウィル・スミス主演の「 アイ,ロボット 」( 2004 )よりは、「 サロゲート 」は面白かった印象が残る。
本当の「 生身の人間 」の姿と、美男美女の姿に変わった「 サロゲート 」との比較が面白い。
今月27日で70歳。「 アイ,ロボット 」でアルフレッド・ラニング博士を演じたジェームズ・クロムウェルが、「 サロゲート 」でも、全く同じ様な設定の博士役で物語の鍵を握っているのが面白い。
今月27日で31歳。22歳で「 007 ダイ・アナザー・デイ 」のミランダ・フロストを演じたロザムンド・パイクは綺麗な御飾り的な役だったが、「 サロゲート 」では、”老い ”の現実から逃避し、美しい姿で仕事に励む日々。ついつい、夫の意見や希望を避け続けてしまうが、心の奥では、夫への愛は変わらない。しかし、”元 ”に戻る事への不安と恐怖で、”今の生き方 ”を変えられないでいる。真実の生き方とは?苦悩する心の動揺を、上手に演じていた様に思う。
ブルース・ウィルスが演じるグリアーFBI捜査官は、疲れ切った「 ジョン・マクレーン警部補 」そのものだった。 ”サロゲートのグリアーFBI捜査官 ”は、凛々しく変装した「 ジャッカル 」似の超身軽な「 ターミネーター2 」だった。